医療現場での業務は、患者の診療だけに限りません。それにまつわる事務作業も多岐にわたり、医師や看護師などをサポートするために陰で活躍している人もいます。
今回は、そんな役割を担う医師事務作業補助者について解説していきます。

医療現場にはさまざまな仕事がありますが、そのなかの事務的な作業をサポートするのが医師事務作業補助者です。働く病院・施設によって医療クラーク・ドクターズクラークなどとも呼ばれます。
ここでは、医師事務作業補助者の主な仕事内容についてご紹介します。

医療関連の文書作成代行

診断書・紹介状・処方箋・各種保険の証明書などの作成を代行します。
そのほか、患者さんの入院や手術、診療などの手続き、ご家族や本人への適切な説明も行います。

医療サービスの質向上のための業務

診療関連のデータ管理、院内におけるがん登録などの統計作成や調査、
院内会議の準備や議事録の作成なども、医師事務作業補助者の仕事のひとつです。

カルテなどの入力代行

医師が患者さんを診察し、症状などについて診断した際、カルテへの記載が必要になります。
外来診察に同行し、電子カルテをはじめ、記載や入力を代行する仕事も医師事務作業補助者が担います。

行政への対応

行政への対応として、救急医療情報システムの入力業務や、感染症サーベイランスに関する入力業務、その他厚生労働省などへ報告する診療データを整理することも重要な役割です。

求人情報を見ていると、医師事務作業補助者の募集は数多くあります。気になるものの、どういった人が働けるのか、どんな知識が必要なのかが気になるところです。
では、実際に働く場合、何かしら必要な資格はあるのでしょうか？

未経験でも応募可能な案件も多い

医師事務作業補助者の仕事は医師のサポートであるがゆえ、医療系の知識がないと応募できないのでは、と思う人も多いのではないでしょうか？
しかし、医師事務作業補助者の主な仕事は事務作業が中心であり、未経験でも応募できる案件が豊富にあります。
ただし、実際に働く前には厚生労働省が指定する32時間以上の研修を受講することが必要です。逆にいえば、事前に必要な基礎知識を習得できるので、資格なし、まったく知識ゼロからスタートするわけではないので安心できるともいえます。

各種民間資格を取得しておくと優遇されることも

医師事務作業補助者には、いくつもの民間資格が存在します。資格があることでどんな仕事内容なのか把握していることの証明にもなり、応募の際に優遇される可能性もあります。
民間資格には、たとえばJSMA主催の「医師事務作業補助者検定試験」、全国医療福祉教育協会主催の「医師事務作業補助者実務能力認定試験」、一般財団法人日本医療教育財団主催の「医師事務作業補助技能認定試験」などがあります。
また、各種民間試験を受験するにあたっての講座を開講しているところもあります。講座を受講し、試験を受けることでより深い知識の習得にもつながるでしょう。

医師事務作業補助者は、医療現場でよく耳にする「医療事務」とはどういった違いがあるのでしょうか？医師事務作業補助者に求められるスキルと併せて見ていきましょう。

医師事務作業補助者と医療事務との違い

医療事務は受付窓口の仕事が主な内容なのに対し、医師事務作業補助者は、主に医師の事務作業をサポートします。
また、医療事務は診察代の受け取り、レセプト作成など、主に来院患者さんへの対応が中心ですが、医師事務作業補助者は患者さんの入院や診察などの手続き、カルテの代行などを行います。
医療系の事務を任されるということで、なんとなく同じ仕事と思っている人がいるかもしれませんが、それぞれ別の職種と認識しておきましょう。

医師事務作業補助者に求められるスキルは？

医師事務補助作業者の仕事では、医療の知識よりも事務作業に関するスキルが求められるシーンが多くあります。また、医師やその他の施設内スタッフとのコミュニケーションを円滑に取ることで、仕事もスムーズに進められます。
そのため医師事務作業補助者になるには、事務スキルやコミュニケーションスキルを磨いておく必要があります。また、同じ仕事をしている人が施設内に少ないこともあり、自分で仕事をしっかり管理できるスキルも重要です。

医療関係の仕事の中でも、特に医師事務作業補助者は専門の知識がなくても働けることから、人気・ニーズともに高い職種のひとつです。
また、資格を活かした働き方も可能なので、実際に働いてみたい場合には、医師事務作業補助者の資格取得を検討してみるのもひとつの手段です。

今回は、医師事務作業補助者の仕事内容や資格、医療事務との違いについて紹介しました。

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